shojiの伝統産業を巡る旅

名古屋の学生、shojiが各地の伝統産業を徘徊してます。

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で、鉄瓶ってどうなのよ?

コンポ 1 (0;00;14;23) のコピー

「鉄瓶で沸かしたお湯はおいしい」「鉄瓶は鉄分補給に最適」

なんてよく言われてますよね。

水道水を鉄瓶でお湯を沸かすと、滲み出た鉄イオンと塩素などの不純物が結びつき、別のものに変わることでお湯がまろやかになるそうです。
鉄分補給に関しては、鉄瓶からでる鉄分は2価鉄と呼ばれる、体に吸収されやすい鉄分なんだとか。

ふむふむ、なんだか良さそうな気がするけど、本当にお湯がおいしくなるの?実際違いなんて微々たるもんじゃない?

なーんて疑い症の自分は思ってしまう訳ですね。

実際に使ってみないことにはわからない!ということで、実際に使ってみて検証しました。
DSC_4007.jpg
とはいえ、ちゃんとした鉄瓶は高価なので、こちらの4000円の急須兼用鉄瓶を買ってきました。


解説
DSC_4073.jpg
「ちゃんとした鉄瓶」とは、「焼き型」と呼ばれる伝統的な鋳型を用いたものです。
「焼き型」は粘土と砂で形をつくり、模様を描いて、素焼きした鋳型です。ものによっては一つの鋳型から数個しか鉄器がつくれないものも。

一方、「生型(なまがた)」と呼ばれるものは、鉄瓶の原型をつくり、凝固剤を混ぜた砂に押し当てて鋳型をつくる技法です。「焼き型」と比べ、焼く手間がなく原型が健在なら何度でも同じ型をつくることができるため大量生産向きです。
しかし、「焼き型」のものと比べ、シャープな線や模様の細部が甘くなるうえ、肉厚で重い傾向があります。


注意!
普通、鉄製の急須は錆防止のためホーロー加工のものがほとんどです。ホーロー加工されたものは直火にかけられません。それは鉄とホーローの伸縮率の違いから高温になるとホーローが割れてしまう恐れがあるからです。
DSC_3948.jpg
硝子のようにツルっとしたものはホーロー加工されたものです。もちろん鉄瓶特有の効果はありません。

本来、南部鉄瓶には「金気止め」という行程があります。
これは備長炭の火に鉄瓶を焼き入れることで表面に酸化鉄(黒錆)の皮膜をつくるものです。
しかし、数千円のものにそんな手間はかけられません。
そこでこの急須兼用鉄瓶は、特殊な塗装により、鉄瓶の効果を得られつつも錆を防止し、直火にかけられるようにしたものです。

そこでまた疑い症な自分。「え、コーティングしても鉄瓶の効果はでるの?」

とやかく言う前に、物は試しで実際にお湯を沸かしてみます。

DSC_4008.jpg

またも注意!
鉄瓶をガス火にかけるときは弱火~中火で。強火はいけません。
というのも、鉄瓶の外側の表面には漆とお歯黒で防錆加工がされていますが、強火にしてしまうとこれらを焦がしてしまい、鉄瓶が傷んでしまいます。
できれば卓上IHヒーターやホットプレートなどで温めるほうが良いです。自分はガスコンロしかないためガス火で沸かしています。

数分後お湯が沸騰し始めます。
沸騰してもすぐに火から離さず1、2分程度弱火で沸かし続けたほうが、鉄瓶の効果がより表れるみたいです。

DSC_4021.jpg
自分の持っているカップが金属臭がするため、発泡スチロールのドンブリに注いでいます。

では、いよいよお湯を飲んでみましょう!

猫舌なので少し冷めるのを待ち、口に運びます。


飲んでみた印象。
あーなるほどねって感じ。

「お湯がまろやかになる」とは聞いていましたが、まさにそのとおり。
水道水独特の後味が消え、角がとれてまろやかになっています。そしてとろっとした口当たりになります。

最初「鉄臭くならないのか?」と思っていましたが、全然そんなことはありませんでした。
そして、改めて水道水を飲んでみると、やはり特有の後味が気になります。そこで鉄瓶のお湯をまた飲むと、スッキリとその後味が消えました。

10回ほど沸かしては飲んでを繰り返し、たまに金属のような匂いがすることもありましたが、不味いという印象ではありません。中には、びっくりするほど甘く感じたり、とろ~っとしたお湯になったときもありました。
直前に口にしたものや、口の中の状態で感じ方が変わるのかも知れませんが、総じて間違いなくお湯が美味しくなっていると感じました。


さて、飲み終えたあとのお手入れについて。

DSC_4019.jpg
またまた注意!!
そしてここが肝心、鉄瓶を使い終わったあと。
鉄瓶はとにかく乾燥に気を付けて下さい。鉄瓶にお湯を入れたまま水になるまで放置してはいけません。冷えた状態が一番錆びやすく、すぐに赤く錆びてしまいます。

鉄瓶からお湯を空け、熱いうちに蓋をあけて、余熱で水気を飛ばします。
鉄は冷めにくいため、みるみるうちに水滴が蒸発していきます。
それでも大きな水滴が残るのが心配な方は、かるく火で温めてやるとすぐに乾きます。

そして鉄瓶の中は決してスポンジで擦ったり、触ったりしないで下さい。皮膜がはがれたり、手の油分がつき、錆びの原因となってしまいます。
鉄瓶の中は常に煮沸消毒しているようなものなので、洗う必要はありません。余分なことはするなということです。
ほこりなどが気になったら、使う前に水ですすいで、いつもと同じように使えば良いです。

大事につかっていると、湯垢が内側につき、いっそう錆びにくくなります。
鉄瓶は最初の数週間が肝心で、なるべく毎日使っていたほうが湯垢のコーティングがつきやすく、お湯の味も良くなってくるそうです。
それでも、鉄瓶は必ず錆びます。しかしお湯が濁ったり、味が変にならないかぎり気にすることはありません。
錆は汚いものではありません。おせち料理の黒豆の色出しに錆びた釘をいれるくらいですから。

DSC_4025.jpg
たまに、このような鉄のかたまりがでてくることがあります。これもそのまま飲んで大丈夫です。黒いかたまりが出てきたら「あ、今日はラッキーかも!」と思えばいいのです。


鉄瓶を実際につかってみて。
手入れが難しいと聞いていましたが、全く難しくありません。
やはり鉄瓶は使ってみて初めてわかる良さがあります。初めて曲げわっぱを使ったときと同じように、鉄瓶にも驚かされました。(インパクトでは曲げわっぱのほうが上かな?)
このあと、ミネラルウォーターを鉄瓶で沸かしたらさぞ美味しくなるだろう!とやってみたところ、いまいちでした。意外にも水道水のほうがおいしく感じました。ただの水が美味しくなるなんて、なんとも嬉しい鉄瓶。
紅茶とは相性がよくないと噂でききますが、機会があったら検証してみたいと思います。


いままで茶葉にこだわっても、お湯のことを疎かにしていた自分がもったいない。
手入れが難しい、高い、と敬遠してきた人は1万円以下ので、とりあえず使ってみてはいかがでしょうか。
そして気に入ったら、安いのを友達にあげて、こだわりの一品を買いに行きましょう笑

たかがヤカン、されどヤカン。
みごとにヤカンにしてやられました。

お湯の飲み過ぎでこのあと何回もトイレに駆け込みました。
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[ 2010/10/11 10:21 ] 南部鉄器 | TB(0) | CM(2)
No title
こんばんは。

今回もとても勉強になりました。
(いつもながら写真が素晴らしい!!)

「伝統工芸品に求められるもの」でおっしゃっていた
“使う側の知識”大事ですね。“知らない”ということで
その品物の個性がクレームになってしまいますからね。

_ _ _ _ _

「伝統工芸品に求められるもの」のコメントより

ご返信いただき、ありがとうございます。

>伝統産業に入ったきっかけを聞くと「なんとなく」な感じが多いです

なるほど。。

以前、老舗の事業継承の話を聞いたことがあるのですが
老舗の経営者にとって一番大事なことは“企業理念”だそうです。

老舗と伝統産業を同じ目線で比べるのは無理があるかもしれませんが
先人の理念の中に、今後の伝統産業発展の鍵があるのではないかと。

温故知新。
[ 2010/10/12 23:02 ] [ 編集 ]
Re: No title
いつも見ていただきありがとうございます。

> “使う側の知識”大事ですね。“知らない”ということで
> その品物の個性がクレームになってしまいますからね。

その通りだと思います。
同時に作り手には”知らせる”責任があると思います。
伝統を変えていくことで発展させることも大事ですが、
伝統のもつ良さを教えて継承していくことも大事だと思います。
伝統の良さを語ればきっとお客さんはついてきてくれるはずです。それだけ魅力的で奥深いものですから。

ただ職人にそこまで求めるのはオーバーワークだとも思います。
ですから第三者の立場の人がこのことを意識し、工夫した取り組みが必要でしょう。

> 老舗の経営者にとって一番大事なことは“企業理念”だそうです。

たしかに、老舗を背負った人ほど、しっかりとした理念を掲げている印象はあります。
ただ、企業理念を持つことより、企業理念を持とうとする意欲、向上心が大事なのでしょう。
老舗という責任が自然とそうさせるのかもしれません。

結局は意欲、向上心、そして生き甲斐をみつけないと続かない業界です。
そしてそこが一番問題なところでもあります。なにせ当事者自身の問題ですから。

生き甲斐は周りの環境にも左右されます。
先人がいた環境と現在の環境は当然違うものですから、職人が生き甲斐をもって働けるような環境、仕組みづくりが大事なのだと思います。
[ 2010/10/13 19:52 ] [ 編集 ]
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プロフィール

shoji

Author:shoji
名古屋の学生です。
今年度は日本の伝統産業を巡る旅に出てます。
旅先で見たこと体験したことを日々綴っていきます。

※すでに旅は終了しています。

mail:cus-show at hotmail.co.jp



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