shojiの伝統産業を巡る旅

名古屋の学生、shojiが各地の伝統産業を徘徊してます。

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南部鉄器「田中鉉工房」③

DSC_4145.jpg

引き続き盛岡の鉉職人、田中二三男さんにお話を伺っております。
ー鉉のデザインは誰が決めるのですか?

釜屋さんが鉉を決める。
最近ではユニバーサルデザインっつうの?前には考えられないような鉉も出てきたんだよ。

DSC_4153.jpg
こんな特殊な鉉も田中さんが手掛けます。

ー釜屋さんの話を聞くと、お客さんの声が返ってくると嬉しいとよく耳にします。ここではそういったやりとりはあるのですか?

オレらの場合はないな。

ーどんなことに仕事のやりがいを感じますか?

んー・・・だな。まぁ仕事は仕事で楽しいけど特別楽しいことってなぁ。
例えば、コンテストとかに出品して入賞したって釜屋さんが報告にくるとね。来ない釜屋もある。

ーコンテストなどで「この鉉は誰がつくったのですか?」と聞く人はいないんですか?

この鉉は誰々がつくった、なんて絶対聞かれないね。ひどい鉉を出したら聞かれるかもしれないけど。
鉉は作品の良し悪しを大きく左右すると思うんだけどな。
ただ鉉屋は表に出たことはあぁりまへーん。
そういうもんだと思ってる。昔っから鉉屋は日陰の商売。

ー盛岡に鉉工房は一軒、競合相手もいないというのはモチベーションを保つのに不利ですね。


一軒だけってのはハンディなんだよな。組合にとっても良くないとは思うけど、だからといってオレがやったわけじゃないからよ。(工房が減ったのは)釜屋の責任でもあるんだよな。

ー鉉の供給量としては一軒で賄えるものなのですか?

賄えてるね。今の状態ではな。釜屋ってのは作れる量ってのは限られてるんだよな。
鍋の鉉も鉉屋がつくってたけど、今は水沢地区に鉉を機械でつくる会社があるんだよな。安く作れるから機械生産の鉉をつける工場もある。

ー機械のものには安さでは適いませんね・・・。

経営者はあっち(機械生産)なら○○円で出来る。その値段でつくってくれと言う。
だからオレたちの業界は人がいなくなったの。
まぁ機械生産のものができてメリットももちろんあるけどね。ただ結局は後継者がうまく育たなかったんだな。
ただ鉄瓶がわかる人は、機械の鉉は買わないね。

ー水沢地区の鉉職人は後継者がいない?

水沢のほうは後継者いないと思うよ。水沢もすこし考えておかないとね。
そこまで目が届く人がなかなかいないんだよな。自分ところで精一杯で。
鉉屋がいなくなったら安泰でないよ。考えてる人は考えてるけど、自分たちで切り開いてやっていくしかないな。

DSC_4134.jpg
鉄瓶の見本たち。見本に鉉を当てがって、微妙に形を調整してバランスを見ます。

ー盛岡の南部鉄器の全ての工房は田中さんの鉉を使っているのですか?

会社に寄っては100%のところもあるし、水沢の鉉をつけてるところもあるな。

ー鉉の単価は鉄瓶の何割くらい?

鉄瓶の売値に対して微々たるものだよ。そういう会社の方針だからな。
たとえば袋鉉だったら10万のものも5万のものも、鉉自体は同じ単価でやってる。
単価的には言いたくないね。頭に来るから笑

ー鉄瓶は安くても鉉だけはこだわりたいってお客さんはいますか?

そういうお客さんはなかなかいないね。
生型のに袋鉉つけたってしょうがないでしょー。もし注文が来たら辞めたほうがいいんでねぇかって言うね。
生型のものに袋鉉なんて付けたら鉉が安くなってしまうよ。

ー最近は鉄瓶に興味を持つ若い方が増えていますが、鉉に興味を持つ若いお客さんは増えましたか?

鉉はそうでもねぇな。それに興味をもつ人はいるかもしれないけど、やりたいって人はあんまりいないんじゃないかな。

ー手作り村のお客さんからどんな質問をよくされますか?

鉄瓶錆びたんだけどどうしたらいい?とかかな。鉉に関しての質問はねぇなぁ。
今は「あら高いわねー」っていうお客さんが多いからな。


・・・こんな感じでいろんな話を田中二三男さんとお聞きしました。
一本一本金槌で叩いて、ただの鉄の棒から鉉になっていく様は大変興味深く、話をお聞きしてる間も見入ってしまいます。

鉄瓶の細かいあられ模様、砂の鋳型による鉄の肌は見栄えもするし、たしかに魅力的ですが、鉉の魅力も全く負けていません。
鉉は毎日手に触れる部分、即ちもっとも使い手に鉄の感触を伝える部分であるわけです。
鉉の微妙な調整で全体のフォルムに調和が生まれ、たかが取っ手といえど、そこには鉉職人が繋いできた伝統が濃縮されています。

南部鉄瓶を見かけた際には鉉の部分に注目して見て下さい。
鉉職人が金槌で叩いてつくったとは思えない精巧な出来映えにびっくりするはずです。
そしてあなたがびっくりしている間に、盛岡では今日も田中さんが鉉をつくり続けています。
その姿を想像したら、ただの取っ手が芸術品にかわることでしょう。

そうして「やっぱりこの鉉じゃなきゃ!」ってお客さんがもっと増えてくれることを願っています。


ちょっと脱線して、田中さんは鉉職人の傍ら、百姓仕事をし、キノコ狩りも趣味でやっているそうです。

「今日もキノコ採ってきたよ。好きなことやらないと。仕事は年中あるけど、キノコは一瞬だからね。(キリッ)」


鉉をつくって、田んぼをやって、キノコを採って・・・
田中さん、カッコいいっす。

田中さんはお人柄も良く、何度か鉉工房に通っていろいろなお話をしていただきました。
午後休みにコーヒーおごっていただいたりいろいろお世話になりました。嬉しい限りです。

盛岡手作り村にお越しの際は鉄瓶の鉉の部分にも注目してみて下さい。
田中鉉工房、田中二三男さん、お話ありがとうございました!
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[ 2010/11/03 13:00 ] 南部鉄器 | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

shoji

Author:shoji
名古屋の学生です。
今年度は日本の伝統産業を巡る旅に出てます。
旅先で見たこと体験したことを日々綴っていきます。

※すでに旅は終了しています。

mail:cus-show at hotmail.co.jp



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