shojiの伝統産業を巡る旅

名古屋の学生、shojiが各地の伝統産業を徘徊してます。

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紅型の今

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「紅型の今」を語るには情報不足ですが、沖縄の伝統産業を考える上で重要なものですので、どんなものだったか報告したいと思います。

写真は1月25~30日の間に行われた首里高校染織デザイン科の卒業作品展「第51回そめおり展」の様子。

高校生たちが3年間勉強してきた成果として、渾身の作品たちが並びます。

首里高校染織デザイン科、沖縄県立芸術大学、沖縄県工芸指導所と、沖縄には紅型を学べる場がいくつもあります。ここから毎年、多くはないにしても紅型職人を輩出しています。それに加え、他県から紅型職人をめざして沖縄に移住しくる人もいます。

他の染織に比べ、知名度もあり、環境も整っているように思える紅型ですが、実際にはここにも複雑な事情がありました。



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第18回りゅうぎん紅型デザイン公募展大賞作品より(ぶれてて申し訳ない・・・)

まず、紅型の主なコンクールとして、県内最大の総合美術展「沖展」、「沖縄県工芸公募展」、琉球銀行が主催する「りゅうぎん紅型デザイン公募展」→スライドショーなどがあります。
応募作品の傾向として、明るく爽やかな沖縄的なイメージの作品が多くなってきているような気がします。

◇「紅型ってなんなの?」

斬新で目を惹く作品が評価されるのはどの工芸でも言えて、漏れなく紅型にもその傾向はあります。そしてこのときに心配されるのが、「従来型は劣っていて斬新なものが優れている」というイメージを周りに蔓延させてしまうこと。
とりわけ、沖縄は観光客のお土産用に安価な紅型風の製品が大量に出回っており、紅型に軽薄な印象を与えてしまわないか心配されます。「結局、紅型ってなんなの?」と今一度認識する必要がありそうです。

そして今、「紅型ってなんなの?」と揺れている時でもあるようです。
紅型に用いる材料はかつては岩や貝の粉、固着剤として膠、豆汁などの自然素材を用いていました。紅型は日用品ではなく、王族への献上品としての役割が強かったと思われます。頻繁に着られるものではないため洗濯や摩耗には弱いものでした。
それが樹脂顔料、合成樹脂の登場で、洗濯に強く、取り扱い容易な紅型をつくることができるようになりました。こうした新素材の登場で議論になるのが、素材の違いによる考え方の違い。ここでまず「紅型ってなんなの?」が浮上します。

更に沖縄特有の事情、「戦争」が紅型に影を落としています。
かつての紅型の生産の中心であった首里は戦火によって9割近く焼け野原となってしまい、古い紅型は燃えてしまいました。その中でも、王族用などの派手な紅型は保護の対象になり、今も現存しています。こういった事情から、紅型の「古典柄」とされるものには派手な物が多いのです。しかし、実は昔もこんな柄があったんだよと、いろいろ後からわかることも多く、結局古典紅型ってなんなんだ?ということも曖昧なままです。

◇「紅型職人になるには」

沖縄には紅型を勉強する場がいくつかあると言いましたが、そこから紅型職人になることは容易ではありません。首里高校の染織デザイン科の卒業製作展を見ても、作品から高校生たち努力が伝わってきますが、やはりすぐに紅型職人になれるわけではなく、技術的にも、創作力もまだまだ発展途上であります。
一人前の職人になるには長い年月と忍耐、人一倍の努力が必要です。紅型職人になるために工房で働きながら研修施設に通うひと、アルバイトをしながら紅型を続けるひと、家に帰った後も型彫りなど練習をするひと、平日勤務休日紅型というひとと、常に工夫しながら努力していかなくてはいけません。

その中でも、技術は未熟にしても、アイデアが良くて抜きん出るひともちらほらいるようです。観光客が手に取りそうなものがお金になりやすいという沖縄の特性があるため、瞬発力のあるデザインが目立ってきます。この風潮は、純粋な紅型を地道につくっている人にとってはあまり良いものではありません。
地道に丁寧な紅型をつくる人たちのものに、もっと目を向けてくれる人が増えてくると、より紅型の伝統は受け継がれやすくなりますね。

◇「いいものが売れない、というご時世」

そして紅型業界の頭を悩ませるのが、高いものがなかなか売れない景気、呉服業界の低迷。
紅型は大変素晴らしい精巧さ、美しさを誇っていますが、高額になってしまうため限られた人を対象にせざるを得ません。リーマンショックによる不況のときは工房のみんなで丹誠込めてつくっても買い手がつかなくて売れず、紅型のトップ工房でもなくなく従業員をリストラしなくてはならないほどだったそうです。いいものをつくっても売れない悔しい思いは、安いプリントの紅型風なものばかり市場に出て行くことで更に追い打ちをかけられます。「沖縄に来たら、せめて本物の紅型を見て帰ってほしい。」それが紅型職人の切なる願いのようです。


沖縄の紅型は見れば見るほど、知れば知るほど、その凄さがわかります。そしてこんなに凄いものをつくっていても、産業としては厳しいという現状。今はまだまだ大きな壁の存在を知るのみ。純粋にいいものをつくっている人たちに将来自分が何が出来るか、改めて強く考えさせられました。
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[ 2011/03/04 20:43 ] 紅型 | TB(0) | CM(0)
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shoji

Author:shoji
名古屋の学生です。
今年度は日本の伝統産業を巡る旅に出てます。
旅先で見たこと体験したことを日々綴っていきます。

※すでに旅は終了しています。

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